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人生のサプリメント【紅玉版】 ─ 蔵書より、今日のワンフレーズ
   
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2016年01月13日

影がなければありのままではない




蒼穹の昴(上)」(浅田次郎/講談社)より


『どんなにありのままを描いても、

 がなければありのままでは

 ござりませぬ』(p140)




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 蒸留した純粋と、天然の清い湧き水。

 あるいは工業精製された食塩と、

 岩塩や天日干し海塩などの天然塩。



 どちらも同じく、水や塩の味がします。

 けれども、舌でじっくりと比べてみると、

 確かに味わいの違いがあるのも否めません。



 いずれも、僅かな不純物がもたらす、

 それぞれにしかない個性、表情です。



 もしもその「不純な成分」をすべて取り除いて、

 「●●の天然水」といった具合で売りだせば、

 さすがに看板に偽りありと言わざるを得ませんね。



 人の心も、これと似たことがいえます。



 悩み苦しみ、迷いや邪心。

 いわゆる煩悩を捨て去ることが幸せの道――

 たしかにそれは間違っていません。



 しかしそう諭され、なおも心に浮かびくる煩悩を、

 無理やり振り払って刈り取って抑えこんで……

 と励んだところで、実は無駄な努力です。



 なぜなら、無尽蔵に湧いてくるものだから。

 「ああ、無尽蔵に湧いてくるものなんだ」

 「これが私の心というものの仕様なんだ」

 と、ありのままに認め、降伏しない限りは。

『「陰影は醜い。我が国の技法にはこのように影を描き入れることは許されぬ...そちも母国で習い覚えた手法は改めねばならぬ。事物に忠実に、精密な線をもって描かねばならぬ」
 そのとき、手を引かれていた皇子が不審げに祖父を見上げて言った。
「でも、おじいさま。お花には影があります。窓から光がさせば、黄色いお花にはとても黄色いところと、そうでないところができましょう。葉も、花瓶もそうです。どんなにありのままを描いても、影がなければありのままではございませぬ」』(p141)


 物事にも光と影があるように、

 心にも明るい面や暗い面が浮き出るものですし、

 それが自然な姿です。



 そのいずれが内面に現れても、

 「ああ、そういうことですか」

 と静かに味わい、ただ感じきることができる――



 人生というキャンバスに、ありのままの絵を描く。

 その“絵の具”でなく、”画家”として生きる時、

 そんなふうに落ち着いてくるのかもしれません。





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蒼穹の昴(上)

浅田次郎 講談社 1996-04-17
by ヨメレバ


posted by せらつか at 06:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 今日のフレーズ